向田邦子の嗅覚感性

緻密で頭脳明晰さがエッセイ、小説にもまるでミステリーストーリーのように繰り出す。旅好きな方であったのであろう、人が行かないところに足を運んでいらした。その中でアフリカでのことが書かれていた。読んだとき匂いを共にした。-暑さと湿気もかなりのものだった。恐らく40度は越しているだろう。風が全く無いせいか、じっとしていても汗が吹き出し、シャツにしみを作る。何を考えるのも大儀になる。青みどろ色で薄い屑でも流したようなねばり気のある湖の水は、クロレラの煮える匂いがして胸がむかついてくる。-他の文のなかにも随所に素晴らしい表現が見られるが不思議に人が好きな快い香りよりも苦手な匂いに関することが多いように思う。例えば腋臭の匂いがでる文もある。そこには機械油の匂いも登場していた。腋臭は日本では大変嫌われているがことフランス、イタリア、スペインではそういった感覚は持ち合わせていないと感じた。今サッカーワールドカップたけなわ。汗と興奮の中、強豪の人種はかなりの腋臭を持っているはず。競技場は観客と一体となった腋臭の良い匂いに包まれていることであろう。「

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